学校法人杏林学園 杏林大学医学部付属病院
片山 満代
参加者に伝えていきたいこと「安全・安楽な透析療法を提供できる事と、慢性疾患の過程を理解し、患者さんが望む生活を支援していく事の、2つの視点が大切」
患者さんとどのように関わればいいか、日ごろ抱えている悩みがあるかと思います。患者さんを理解するには、保存期から患者さんの体と心がどのように変化していくのか知る事が大切な事なので、皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。
自分が現場で関わる病期の患者さんだけを捉えるのではなく、慢性期の一人の患者さん、生活者として考える視点も大切です。普段自分が関わることのない病期の人についても知ってほしいですね。その中で自分は今どのステージの患者さんと関わっているのだなという視点を持ってもらいたいと考えています。
透析を始めると精神的に不安定になって、医療者にあたったりする人も出てきますが、それを嫌な患者さんと捉えるだけではなく、何故そのようになったのか考える事が大切です。精神的な変化もあるでしょうし、生活様式が変わってしまう方もいらっしゃいます。食事や生活には気を付けていたのに何故、透析になってしまったのかと受容できない方もいます。そういったやるせない気持ち、心を理解する上では、患者さんがどうやって生きてこられたか、理解していくことが大切だと考えています。
そういった部分を参加者の方々と一緒に、普段業務する中での悩みや葛藤、困難事例などを出しながら考え、学んでいってほしいと思っています。基礎的な知識も重要だと思いますが、業務にも慣れてきたらそういった視点も必要なんだよということも伝えていきたいですね。
相談を受けるようになってきて、頼りにされているという実感が持てると楽しみにもなってくる
患者さんと関わる上で大事にしていることは、患者さん自身が幸せだと思えるような、生活を送れるようにサポートしていく事です。自分の人生を生きてほしい、自分が主役なんだという事を患者さん自身に感じてもらえたらいいなと思っています。食事・水分制限など医療者側から言われたからやるのではなく、どうしたら透析を組み込んだ生活がうまくいくようになるか、患者さん自身が考えられるよう自律の心を育てたいですね。それが行動変容に繋がっていくのではないかと思います。
あとは、こちらも患者さんに興味を持って接し、患者さんのことを知りたいと思うことが大切だと思っています。関係性を築くには時間はかかりますが、良好な信頼関係ができると患者さんが深い悩みを伝えてくれるようになります。「自分の検査値どう?」とか「医師にこう言われたんだけどどう思う?」とか相談を受けるようになってきて、頼りにされているという実感が持てると楽しみにもなってきます。