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入門・薬物動態で使う数学の理解と、Excelを使った血中薬物濃度予測シミュレーション

【情報機構】

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開催日 2021年11月29日 開始:10:30 | 終了:16:30 | 開場:10:00
会場 会場での講義は行いません(オンラインセミナー)
東京都品川区大崎[地図]
※地図は若干の誤差が生じる場合があります。詳細は主催者よりご連絡いたします。

講師 兵庫医療大学 九川文彦
定員 30名
主催 株式会社 情報機構
受講備考 【オンラインセミナー(見逃し視聴なし)】:1名47,300円(税込(消費税10%)、資料付)
  *1社2名以上同時申込の場合、1名につき36,300円

  【オンラインセミナー(見逃し視聴あり)】:1名52,800円(税込(消費税10%)、資料付)
  *1社2名以上同時申込の場合、1名につき41,800円
関連資料

概要

製薬会社における新薬開発から病院薬剤部でのTDM(Therapeutic Drug Monitoring)まで、「薬物動態学」(狭義でいう薬物速度論)には「数学」が欠かせない。それは、薬物動態学が「未来予測の学問」であるからだろう。「頭が痛いので今日は1日3回アスピリンを飲みました。では、体の中のアスピリンの濃度は、明日はどうなっていますか?」という話は、演者が薬物動態学の最初の講義で学生に投げかける質問である。この問いかけに答えるためには、生体内薬物動態の数理モデルから微分方程式を立式し、それを解かなければならないのであるが(レベル的には高校数学ⅡBもしくは数Ⅲ)、「なぜこのような微分方程式を立式しなければならないのか?」という、「本質的な疑問」に対する答が述べられている教科書は、なかなか見あたらない。
そこで、薬物動態学に関わるいろいろな分野ですでにご活躍の視聴者諸賢にとってはいささか退屈になるかもしれないが、復習の意味も込めて、諸賢が業務で出くわす数学(具体的には、微分、積分、非線形理論など)の「考え方」をあらためて解説していきたい。
加えてセミナーの最後には、Excelを使って「未来予測」をするとどんなことができるのか、という簡単な数値シミュレーションの紹介も行いたい。

こんな方におすすめ

  • 受講対象
    1. 製薬会社で初めて「薬物動態学(薬物速度論)」を業務として取り扱う方
    2. 病院薬剤師として日々TDM業務をコンピュータ相手に行っているが、「コンピュータを動かしている理屈」の復習&理解を必要とされている方
    3. 学部レベルの薬物動態学を、大学院の研究テーマとして発展させるヒントを必要としている大学院生の方。
    4. 薬物動態学(薬物速度論)の授業がよく理解できず、とりあえず公式だけ覚えてしまい、自分の知識・理解に自信が持てない薬学部4、5、6年生。
    などです。

プログラム

  1. 薬物動態学に出てくる「微分」の考え方
     1.1(復習)そもそも「微分」とはなにか
      1.1.1極限の概念
     1.1.2 微分公式のいろいろ

    2. 微分方程式を立式する前に、まず「文章」を書いてみようではないか
     2.1体の中で起こっていることを「文章」にする
     2.2それを数式(微分方程式)に変える
     2.3 微分方程式を解くには、逆演算である「積分計算」を行えばよい

    3. 線形1-コンパートメント急速静注モデル(以下、線形1コン急速静注、と略記)を説明する微分方程式とは
     3.1線形1コン急速静注モデルの中で起こっていることを文章にしてみる
     3.2文章を微分方程式にして、その積分解(血中薬物濃度(C0))を求める
     3.2.1積分解から、他の重要な薬物動態学的パラメータを求める
      3.2.1.1分布容積(Vd)を求めるには
      3.2.1.2消失速度定数(ke)を求めるには
      3.2.1.3消失半減期(t1/2)を求めるには

    4. 線形1-コンパートメント経口投与モデル(以下、線形1コン経口投与、と略記)を説明する微分方程式とは?
     4.1線形1コン経口投与モデルの中で起こっていることを文章にしてみる
      4.1.1このモデルでは「吸収過程」が加わっていることに注意しよう
     4.2吸収過程が入った微分方程式はどうやって解けばよいのか?
      4.2.1高校数学Ⅲを使った積分解の求め方
      4.2.2ラプラス変換を使った積分解の求め方
       4.2.2.1 積分解から、他の重要な薬物動態学的パラメータを求める
       4.2.2.1.1吸収速度定数(ka)の求めるには
       4.2.2.1.2吸収速度定数(ka)消失速度定数(ke)の大小関係から分かることとは(フリップ・フロップ現象)
       4.2.2.1.3最高血中濃度到達時間(tmax)を求めるのに使う微分の考え方(グラフの傾きがゼロになる)

    5.線形1-コンパートメント点滴静注モデル(以下、線形1コン点滴、と略記)を説明する微分方程式とは?
     5.1線形1コン点滴静注モデルでの中で起こっていることを文章にしてみる
      5.1.1点滴とは、一定の速度(0次速度過程)で薬物を体内に静注する投与法である
      5.1.2点滴における「定常状態」とは(極限の考え方)
      5.1.3点滴は、いつかは止めなければいけない
      5.1.4点滴を止めた後、血中薬物濃度はどうなる?
     5.2線形1コン点滴静注モデルの微分方程式は、どうやって解けばよいのか?
      5.2.1高校数学Ⅲを使った積分解の求め方(多分に技巧的)
      5.2.2ラプラス変換を使った積分解の求め方(省略します)
       5.2.2.1積分解から、他の重要な薬物動態学的パラメータを求める
       5.2.2.1.1定常状態における血中薬物濃度(Css)と到達度(f)
       5.2.2.1.2定常状態に影響を及ぼす点滴速度(k0)と消失速度定数(ke)
       5.2.2.1.3負荷量(DL)と維持量(k0)

    6.薬物動態学に出てくる「積分」の考え方
     6.1実は、積分の歴史の方が、微分よりはるかに古い
      6.1.1面積を求めるのに、昔のヒトはこんなことを考えた
       6.1.1.1区分求積法のはなし
      6.1.2(復習)積分公式のいろいろ

    7.AUC(血中薬物濃度曲線下面積)は積分そのものである
     7.1AUCの概念とバイオアベイラビリティーとの関係
     7.2区分求積法とは(台形公式)
      7.2.1Excel VBAを使ってAUCの精度を上げるアルゴリズム
     
    8.線形1-コンパートメント急速静注繰り返し投与モデル(以下、急速静注繰り返し、と略記)で、平均血中薬物濃度を求めるには
     8.1.1「等比級数の和」の公式がなぜここに?
     8.1.2簡単な「極限」の理解が必要になるわけ
     8.1.3AUCがよく出てきます
     8.1.4投与設計に必要なパラメータ類
      8.1.4.1付加投与量(XL)
      8.1.4.2維持投与量(XM)
      8.1.4.3蓄積率(R)

    9.線形1-コンパートメント経口投与繰り返しモデル(以下、経口繰り返し、と略記)で、平均血中薬物濃度を求めるには
     9.1.1「等比級数の和」の公式は、ここでも登場
     9.1.2「定常状態における平均血中薬物濃度」を求めるには
     9.1.3 投与設計に必要なパラメータ類・特に蓄積率(R)

    10.クリアランスの理論(薬物動態学における非線形理論の王者) 
     10.1クリアランスは「定義」から始まります
      10.1.1クリアランスの定義を数式とグラフで表すと
     10.2組織クリアランスとは何?
      10.2.1 (代表例としての)肝臓のflow model
     10.2.2肝固有クリアランス(CLint)を導入した、well-stirred model
      110.2.2.1肝抽出率(Eh)とは
      10.2.3Well-stirred modelから求めた肝クリアランス(CLh)
     10.3「近似」の概念から導き出される、肝血流量依存型薬物と肝固有クリアランス依存型薬物

    11.Excelを使った血中薬物濃度予測シミュレーション
     11.1最小二乗法とは何か
      11.1.1血中薬物濃度の実測値プロットから、fittingをかけてプロット上に曲線を描く方法
      11.1.2前項(11.1.1)はあまり面白くないが、その理由は?
     11.2Excelの「リンクペースト機能」を使うと、ちょっとした「お遊び」ができて、重要な「薬物動態学的パラメータ」の相互関係が可視化できます
     11.3「数値シミュレーション」を使うと、こんなことがわかります
      11.3.1「解析解」と「数値解」のはなし
      11.3.2Excelを使って、「関数 f(x)=x^2-2がある。f(x)=0を満たすxの値を求めよ。」という中学レベルの問題を解くには?
      11.3.3Excelを使うと、円周率(π)も求まります
      11.3.4時間(t)を離散化して考えると、薬物動態ではこんな未来予測のシミュレーションができます

    12.今日のやり残し
     12.1項目「3」のところには、尿中排泄速度から血中薬物濃度を求める解析方法があります
     12.2確率・統計学を使った薬物動態学の解析方法があります
     12.3Excel VBAの次には「Python」をプログラミング言語として勉強されることを勧めします

受講されることで得られる効果

  • 受講後、習得できること
    1. 「応用レベル」の薬物動態学(薬物速度論)が、理解しやすくなる。(注:応用レベルというのは、母集団薬物動態解析や解析手法としてのモンテカルロ法などです。)
    2. 医薬品の添付文書に記載されている「薬物動態」項目の内容が、理解しやすくなる。
    3. 「ExcelのVBA(Visual Basic Applications (for Excel))」の勉強をすすめると(時間の関係で本セミナーでは「さわり」しか紹介できません)、簡単な業務効率化のアイディアが具現化できる。

講師

  • 兵庫医療大学
    薬学部 医療薬学領域 薬物動態学分野 
    教授 薬学博士
    九川文彦

    日本大学理工学部薬学科助手から日本大学薬学部准教授を経て、現在、兵庫医療大学薬学部教授。この間、University of Chicago Department of Biochemistry and Molecular Biologyで博士研究員、University of California at Los Angeles Department of Molecular Genetics and Molecular Biologyで客員研究員。

    ■専門・得意分野
    薬物動態学、分子生物学、ゲノム薬理学。
    現在ではデータサイエンス(多変量解析)や、簡単なコンピュータシミュレーションにも興味をもっています。

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